「2つの老い」にどう向き合うか

 マンションの躯体や設備の劣化とともに居住者の高齢化も進む「2つの老い」が深刻だ。国土交通省によると、全国に704万戸ある分譲マンションのうち2割弱に相当する137万戸は築40年以上経ち、この数は20年後3・4倍に膨らむとされる。一般的に居住者の高齢化が進行すると、組合役員のなり手が不足すると言われる。管理が行き届かなくなれば、漏水や配管の腐食、外壁塗装の剥がれといった事象が生じやすくなる。こうした管理不全の問題は資産価値や安全性の低下を招き、地域への影響も懸念される。「2つの老い」にどう向き合うか。実情に即した施策の実行が求められるなか、先月、マンションの管理・再生を円滑化するための改正法が成立した。原則、来年4月に施行される。
 改正法では分譲事業者が管理計画を作り、管理組合に引き継ぐ仕組みを導入する。組合だけでなく分譲事業者も自治体に計画を申請できるようになる。国交省は管理計画認定の取得割合を施行後5年間で20%へと引き上げる目標を立てる。新築時から適正に管理して計画的に修繕することが望ましいのは当然だ。今回の改正が適正管理に対する意識の向上につながればよい。
 所在の分からない区分所有者も増えている。高齢化に伴う転居や相続の未登記といった理由で所在不明者が増えると、管理や再生を検討する上で合意形成が難しくなる。改正法では、裁判所が認定した所在不明者を全ての決議の母数から除外する制度を創設し、集会決議の円滑化を図る。管理不全に陥ったままの状態を是正する施策という点で、一定の効果を期待したい。
 建て替え実績が累計2・4万戸(297件)という実情を見ると、再生を後押しする施策も重要だ。今回の改正で、建物の更新や取り壊しが建て替え要件と同様に多数決(5分の4以上)決議で可能となる。建て替えを含む再生件数を5年で倍増する目標だが、改正法で講じる手法が効果的な施策かどうか、施行後の動向を注視したい。
 分譲マンションはあくまで住居形態の一つであり、区分所有者の資産だ。適正な管理や適切な再生に向け、丁寧に権利者の合意を形成する過程が重要なのは言うまでもない。一方、耐震性が不足する場合は災害時に倒壊する危険があり、住環境への影響も大きい。老朽マンションの管理と再生は、待ったなしの地域社会の問題でもある。