7月20日投開票の参院選 国土強靱化は争点にならない

 7月20日投開票の参院選が公示された。昨年10月の衆院選以来となる今回の国政選挙は、物価高対策が最大の争点だ。物価高騰の負担を軽減する給付金や消費減税について、各党が論戦を繰り広げている。
 主要政党の公約でも、やはり物価高対策に政策の重点が置かれている。物価高騰に対する負担軽減、物価高の負担を軽減する賃上げは、国民の最大の関心事でもある。
 一方で、切迫性が高まる大規模地震や毎年のように発生する水害への備えを各党はどのように考えているのか。政権与党の自民党の公約では、政府が6月に第1次国土強靱化実施中期計画を閣議決定した成果を強調。今後5年で20兆円強の事業規模を確保し、防災・減災、国土強靱化を切れ目なく推進するとした。
 同じ与党の公明党も、災害対応力を強化するため「建設業者や団体等との災害協定の締結促進」「インフラの老朽化対策を強力に進める」としている。
 野党の公約にも災害対応や公共事業の記述はある。立憲民主党は「首都直下、南海トラフ地震への備えを強化」「災害復興や除雪などに必要な地域の建設業を守る」など、財源には触れていないが、与党と方向性に大きな違いはない。
 南海トラフ地震や首都直下地震への防災・減災対策を公約に盛り込んだ国民民主党も同様だ。一方、日本維新の会は「不必要な公共工事を抑制」し、第三者委員会が事業評価を行う制度の創設を求めるなど、公共事業に対するスタンスは異なる。
 共産党は、大型再開発が住宅価格の高騰を招いたとして、都市再生特区などの施策を見直すとするが、「災害に強い社会と国土をつくる」との姿勢は与党と変わりはない。
 旧民主党が「コンクリートから人へ」をスローガンに無駄な公共事業の削減を訴えた時代と異なり、すでに公共事業が選挙の争点になり得ないほど、災害リスクは国民の命と暮らしを脅かしている。与野党の公約を見比べても、温度差はあるが、スタンスの違いまでは見られない。
 今年もまた、国土強靱化の事業費は補正予算に計上される見通しだ。政府は、実施中期計画が決定しても、当初予算で安定的に事業費を確保するつもりは今のところない。災害から命と暮らしを守る公共事業に国民のコンセンサスが得られているのであれば、当初予算に事業費を計上し、安定財源によって国土強靱化事業を加速する必要があるのではないだろうか。