労働時間法制の見直し 労使双方が納得する制度に
9月16日に開かれた厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会を皮切りに、労働時間法制を巡る議論が再び加速し始めた。今後は、月2~3回のペースで変形労働時間制や裁量労働制などの見直しを検討する。柔軟な制度への見直しは働き方の選択肢を広げるが、長時間労働を招く懸念もある。使用者と労働者の双方にとって、より良い働き方を探る必要がある。
分科会では、変形労働時間制や裁量労働制の見直しに加え、勤務間インターバル制度の法的位置付け、連続勤務規制、「つながらない権利」などを順次議論する。働く時間を柔軟にする一方で、休む時間をどう守るかも問われる。
建設業との関わりが深いのが、1年単位の変形労働時間制だ。建設業でも導入が進む一方、現場の実態に合わせにくい課題もある。現行制度では勤務計画を対象期間が開始する30日前に決めなければならず、勤務計画は原則として変更できない。天候に左右される屋外作業が多い建設業では、30日前に計画を確定させる制度の緩和が必要だ。
制度の緩和は、労働者を守る方向にも生かせる。建設現場では、酷暑による熱中症リスクが高まっている。真夏の暑い時期は労働時間を短くし、その分を春や秋に配分できれば、熱中症リスクを回避できる。
一方で、30日前というルールには、生活の予見可能性を守る意味がある。勤務日が直前に変われば、家族との時間を確保できず、私生活の予定も立てにくくなってしまう。さらに、日給制・日給月給制であれば、休業日の増加は収入減につながる。変形労働時間制を緩和するのであれば、こうした課題への対策も同時に考えなければならない。
分科会では、労働者の休息を守る制度の強化も検討する。終業から次の始業まで一定の休息時間を確保する勤務間インターバル制度の法的位置付けや、14日以上の連続勤務の禁止についても議論する。そこでは、長時間労働に伴う健康被害を防ぐための制度設計が求められる。
建設業の人手不足は深刻化する一方だ。長時間労働や労働条件の悪化を理由に労働者が業界を離れれば、人材確保に苦しむ使用者側にとっても大きな痛手となる。使用者と労働者がそれぞれの立場を理解し、歩み寄ることで、「柔軟で多様な働き方」を実現してほしい。
