建滴 繁閑期のない公共工事に
公共工事では、年明けから3月にかけて多くの現場が作業のピークを迎える。今年4月からは時間外労働の上限規制が適用され、建設会社にとっては初めての“年明けピーク時対応”となる。
公共工事では施工時期の平準化に向け、年度当初の第1四半期に稼働する現場を増やす取り組みが進められている。繁忙期の解消に向けても、国土交通省が1月から3月の月平均工事稼働数を年間の月平均工事稼働数で割り、1に近づくほど繁忙期が抑えられる「ピークカット指標」の考え方を示し、自治体の平準化への取り組みを加速しようと、地域ごとのパターンに応じた具体的な検討に入る。
繁忙期解消に向けた課題の一つは、長年の慣習となっている予算の単年度主義だろう。発注者は年度末までに予算を執行する必要があるため、1~3月に工事が集中し、長時間労働や休日出勤が避けられなくなる。国交省は都道府県の入札契約担当者を集めた監理課長等会議で、全ての市区町村が2025年度中に週休2日を実施するよう働き掛けを強化する意向を示したが、年度末の工事集中を解消できなければ実現は難しい。
少ない休日や長時間労働は、少子高齢化による労働者不足が深刻化する中で、若者が建設業への入職を避ける原因の一つとなっている。学生は、就職先の休日と労働時間を重視しており、週休2日の確保は、いまや建設業が採用時に越えなければならない最低限のハードルになっている。
この状況を打開するためには、まず公共工事での予算の弾力的な執行が必要だ。予算の繰り越しを積極的に活用し、年度末に工事が集中しないようにすれば、余裕のある工期を設定し、週休2日を確保することも可能になる。実際に繰越明許や翌債制度を積極的に導入している地方自治体もあるが、財政部局や議会の理解が得られず、そうした措置を講じていない自治体は少なくない。