働き方改革は実現できる
建設業の働き方改革が叫ばれて久しい。週休2日の確保は言うに及ばず、4月から適用された時間外労働の上限規制もあって、業界を取り巻く状況は厳しさを増している。それでも改善に向けて取り組もうとする動きは着実に広がっている。
全国建設業協会(全建)が都道府県協会の会員企業に対して行った「労働環境の整備に関するアンケート」の結果によると、2023年度の現場の週休日を「おおむね4週8休」と回答した会員企業は43・3%で、前年度の調査に比べおよそ13ポイント上昇。前年度に最多だった「おおむね4週6休」の33・2%を上回り、時間外労働の上限規制を見据えた対応が大きく進展した。
また、時間外労働に関わる三六協定は、上限の月45時間・年360時間以内で残業が認められる一般条項のみの締結が40・7%。23年度の月当たりの平均残業時間を尋ねたところ、現場の技術者の97%、技能者の98・7%が上限の月45時間以内に収まっていた。一方、上限を例外的に超えた一定範囲の残業を可能にする特別条項の締結が53・6%と、前年度から約10ポイント上昇している。
現場で時間外労働が多くなる理由は「作成する書類が多すぎる」が71・5%で最も多く、「人員が不足している」の69・4%や「設計変更等発注者からの予期せぬ要望が多い」の34・1%などが続いた。
働き方改革に必要なのは業界を挙げての行動と発注者の理解。建設業4団体による土日一斉閉所運動を通じて週休2日の意識をすそ野まで浸透させるとともに、手だてとなる新技術の一般化などで生産性を高めるようにする。そうした姿勢を前面に打ち出して、より具体的で説得力を持った要望を発注者に主張しなければならないだろう。
全建は24年度の地域懇談会・地方ブロック会議のテーマの一つに「改正労働基準法と働き方改革、生産性向上」を据えて会合を重ねている。皮切りとなった関東甲信越ブロックでは、関東甲信越地方建設業協会会長会の青柳剛会長(群馬県建設業協会会長)が、時間外労働の上限規制を捉えて「業界が大きく変わるチャンス」と強調。さらに「ICT施工の普及を含め、速度の遅い人を真ん中に据え、地域全体で働き方改革を展開することがポイントとなる」と説いた。
誰も取り残さぬ決意の下で臨めば建設業の働き方改革は必ず実現できるはずだ。