縮小する公共投資(2)取り残された建設業 「生産性向上の原資が必要だ」 全建 今井雅則会長

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 物価高騰と予算の制約によって公共投資が縮小する「実質事業量の減少」は、建設業の経営にどのような影響を与えているのか。全国建設業協会(全建)の今井雅則会長=写真=は「公共事業費の絶対量が不足しているのか、充足しているかは分からない。ただ、現実として地域建設業の受注は減り、利益率も伸びていない」と話す。建設業が持続可能となるよう「労働生産性を向上させる原資を得られる環境をつくるべきだ」と訴える。  北海道・東日本・西日本建設業保証3社の統計によると、件数ベースの前払金保証実績は、2020年度から25年度の6年間で3万件以上減少(12・8%減)した。売上高の小さい企業ほど、利益率のマイナスが大きく、発注件数が減少した影響を受けているとのデータもある。  今井会長は、「民間建設投資は都市部に集中している。全国的に見れば仕事がない企業が多い」と、地方の事業量の減少を懸念している。25年度の建設業の倒産件数は過去10年で最多となり、建設業の利益率も他産業より低いままだ。  公共事業の依存度が高い企業ほど、自然災害から地域を守る役割を担っている。地域の守り手である建設業が今、厳しい現実と向き合っている。  今井会長は「地域の建設業も、仕事の許容量を広げる必要がある」と訴え、「防衛施設の強靱化をはじめ、エネルギー事業や農業・林業なども受注できるようにしないと、利益率は上がらない」と会員企業に呼び掛けている。受注を確保できなければ利益も確保できず、「人材や生産性向上のための投資ができない」からだ。  建設業の労働生産性は、他産業と比べて大きく後れをとっている。過去30年間、労働生産性が向上していないだけでなく、人手不足によって労働投入量も減少した=図参照。一方、医療・介護関係は膨らむ需要を背景に労働投入量を大きくし、農林水産業は急速な機械化で労働生産性を高めた。  「製造業の労働生産性は2倍になった。建設業は取り残されている」として、今井会長はその要因を「生産性を上げるために投下する資本がない」ことにあるとみている。公共事業費が横ばいで推移する中で、「30年間、経済が止まってしまっているようなものだ」と考えている。  昨年6月、第1次国土強靱化実施中期計画が決定し、初年度分の事業費が25年度補正予算で措置された。今井会長は「補正予算には災害対応や施工時期の平準化といった役割はあるが、複数年度の予算を見える化しないと、建設産業も投資に踏み切ることができない」とも話す。  このため、高市内閣が打ち出した『補正予算依存からの脱却』への期待は大きい。現在、政府は危機管理投資や成長投資に通常の歳出と異なる予算枠を設け、複数年度で財源を確保することを検討している。「予算編成を本来あるべき姿に戻してもらえば、建設業の投資が活性化することにもつながるはずだ」と強調する。