いま考える 建設業の働き方(2) 夏季の労働環境を変える 作業時間短縮で熱中症回避

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夏季の現場ではファン付き作業服などの熱中症対策が欠かせない(提供:鴻池組)

 職業観の明らかに異なる若い世代の目に、酷暑の中で屋外作業に従事する建設業はどのように映るのだろうか。建通新聞社のアンケートでは、建設業の働き方について「暑くても寒くても我慢して働いてる印象」「早朝から働き、真夏の劣悪な環境での仕事」といった、若い世代の率直な声が聞かれた。ただ、現役世代にとっても、夏季の現場環境は耐えがたいものになっている。今、夏季の働き方見直しは、業界最優先の課題の一つになっている。  厚生労働省がまとめた熱中症による死傷災害の発生状況によると、2025年の建設業での熱中症の死傷者数は前年比28・1%増の292人となった。過去最多となった熱中症被害を回避するため、夏季の働き方を見直そうという試みが、受発注者双方で進んでいる。  鴻池組は今年3月、夏季連続休暇や作業時間を前倒しするサマータイムの導入を盛り込んだ「酷暑対策ロードマップ」をまとめた。  同社執行役員の青柳吉広氏は、自社の熱中症発生件数について「25年は例年の2倍になった」と述べ、猛暑が建設現場に深刻な影響を及ぼしている実態を説明する。ロードマップはこうした状況に対する危機感から作成したもので、労働時間や労働環境に関する複数の猛暑対策を盛り込んだ包括的なロードマップは業界でも初めてのものだという。  猛暑対策として、現場にサマータイムを導入する他、モデル現場で7~9月の各月に連続1週間の閉所期間を設けたり、週休3日にも取り組む。モデル現場では、変形労働時間制を活用する。青柳氏は、「厳しい暑さを避けて涼しい期間に集中して作業に取り組むことで、作業効率のアップも見込める」として、熱中症対策の強化と生産性向上の両面に期待を寄せる。  5月には、大林組も猛暑期間内に作業時間を早める取り組みを開始することを発表。7~8月の施工を対象に、作業の開始時間を午前7時に前倒しし、終了時間を午後1時まで短縮する。これまでも一部の現場で作業時間帯の前倒しに取り組んできたが、今後は国内の全現場に対象を拡大する。  作業時間帯の前倒しは、騒音や交通に配慮が必要な立地といった条件を考慮し、判断する。作業時間の短縮によって工程に影響が出る場合には、気温の低い時期の作業時間を延ばすなど、年間を通じて工程を調整する。  静岡県下田土木事務所では、25年7月に着工した砂防工事に初めてサマータイムを導入した。気温が上昇する時間帯を避けるため、作業時間を午前5時~午後2時に変更。受注者からは、「暑さに伴う身体的な負担が減った」「自由な時間が増えた」など、好意的な意見が寄せられた。  ただ、作業時間の前倒しで課題となるのが、早朝からの騒音の発生に対する地域住民の理解だ。下田土木事務所の事例では、受注者が周辺住民から作業時間の変更について、承諾を得たという。  高知県は、25年3月に、原則として午前11時~午後2時を休憩時間とする「建設工事クールワークタイム」の実施要領をまとめた。1日当たり作業時間が2時間短縮されるため、この分の工期延長も認める。また、主な業務が屋内作業であっても、空調設備がないなど屋外環境と同等と認められる場合は、クールワークタイムの導入が認められる。  現役世代の労働環境を改善することは、若い世代の建設業に対するイメージを変えることにもつながる。鴻池組の青柳氏は「業界全体で建設現場を安全なものとしなければ、将来の担い手は確保できず、持続的な建設業は実現しない」と力を込める。