下水道法改正(2) 窮地に立たされる自治体 不足する使用料、膨らむ更新費
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「財源がいくらあっても足りない」「経営努力だけではどうしようもない」。地方自治体の下水道事業担当者は、苦しい経営状況をそう訴える。人口減少に伴う下水道使用料収入の減少に反して、下水道施設の更新費用は今後さらなる増加が見込まれる。特に中小規模の自治体では、下水道事業で発生する「原価割れ」が問題視されている。
国土交通省によると、下水道事業運営の原資である汚水処理原価に対し、収益となる下水道の使用料単価の状況を表す「経費回収率」は、全国平均で96・3%。下水道事業の処理区域内人口が少ないほど経費回収率が低くなる傾向がみられ、団体数が最も多い人口1万人未満の自治体(955団体)は68・4%と極端に低い。次いで団体数が多い1万~5万人の自治体(572団体)でも、90・5%にとどまっている=グラフ参照。
小規模な自治体ほど厳しい経営状況に陥っている今、下水道管路の老朽化対策は適切に進むのだろうか。埼玉県八潮市の道路陥没事故後に実施された全国特別重点調査では、調査結果が判明した4692㌔のうち、15・9%に相当する748㌔が「要対策」と判定された(26年2月末時点)。このうち201㌔は、1年以内に対策が必要な緊急性の高い管路(緊急度Ⅰ)とされている。
大阪府守口市は、緊急度Ⅰの延長が4・7㌔と全ての自治体で最も長かった。すでに対象管路の補修・改築に向けた設計に着手しており、優先順位を設定して対策工事も始める。
守口市下水道課は「現在の経費回収率は100%を超えている」と述べるが、「今後老朽化したポンプ場の更新などが控えており、膨大な資金が必要になる」と先行きへの不安は大きい。今は適切に事業を運営できていても、資材価格・人件費上昇の落ち着きが見えない中では、将来的に必要な予算額が不足するのは想像に難くない。
守口市に続いて緊急度Ⅰの管路延長が4・1㌔と長かった鹿児島市は、より深刻な状況にある。鹿児島市経営管理課は「下水道事業の経費回収率は85・3%」と述べ、「必要経費を削減する努力はしているが、物価高騰の影響が大きい。経営努力だけではどうしようもない」と厳しい見通しを示す。下水道事業については、「31年度で資金不足に陥る見込み」だという。使用料金の値上げは必至だ。
経費回収率が原価割れする主な要因は、下水道使用料の値上げに対する地域住民から理解を得るのが難しいことにある。「公共料金は低廉であるべき」との考え方が使用料を過度に低いものとし、事業運営の改善を難しくしている。
改正下水道法では、下水道使用料の原則が変更された。これまでは「適正な原価」を設定することとしていたが、「改築のために将来必要となる資金として積み立てるべき額」を加えることが追加された。
下水道法が改正されたとは言え、今まで低価格を前提としていた下水道使用料を引き上げることは容易ではない。ただ、このままでは、八潮市のような道路陥没事故の発生リスクを解消することはできない。インフラを維持するためのコストは誰が負担するのか。リスクの解消には、インフラに対する価値観の変化が求められている。
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