下水道法改正(3)  問われる占用物件の安全性 法改正後も残る課題

中央

図①

 法改正に伴う参院国土交通委員会の審議で、参考人として招かれた政策研究大学院大学の家田仁シニア・フェローは、「道路管理者は下水道の状況を知らない。逆もまた然(しか)りだ」と述べ、道路管理者と道路占用者との連携が不十分であることを問題視した。この指摘に対しては、改正下水道法・道路法による連携協定制度の創設と、道路占用許可に対する条件の追加によって、改善効果が見込まれる。ただ、法改正を経ても、道路占用には根本的な課題が残されている。  改正道路法では「占用物件等維持修繕協定」が創設される。道路パトロールや路面下空洞調査は、道路管理者と道路占用者が共通して実施するものだが、これまでは両者が同じ箇所を別々に調査することもあった。協定制度を整備し、これらの業務を調整・分担しやすい環境を整えることで、作業の効率化やコスト削減につなげる。  占用許可の条件には、これまで占用許可申請書に記載していた占用物件の規模や設置場所に加え、占用物件の点検計画の提出を求める。占用物件設置後の維持管理の状況を道路管理者も把握できるようにするためだ。占用工事の完了後には、竣工図面データの提出も義務付け、設置工事の際の軽微な埋設場所の変更も、確実に道路管理者が把握できる体制を構築する=図①参照。  占用物件の維持管理を効率化するため、オンラインで道路の占用申請や占用工事の実施時期を調整できる、全国統一型の道路占用関連システムも構築されつつある=図②参照。ただ、利用しているのはさいたま市と市内の占用事業者のみとまだ少ない。国交省は、地方自治体や全国の占用事業者に活用を促している。  法改正により、占用物件の維持管理体制の強化が期待できる。一方、国交省は、占用物件を設置する位置や路線、占用料の考え方を話し合う「道路地下空間利用の在り方等検討委員会」を改正法成立後も継続。道路占用制度のさらなる見直しも考えている。  3月2日に開かれた委員会の初会合では、埼玉県八潮市の道路陥没事故の発生箇所が緊急輸送路であることや、複数の占用物件が埋設されていたことが、通行規制や復旧工事が長期化した一因になったと指摘された。委員からは、占用料を単なる土地の使用料とするのでなく、「破損などによる事故や修繕工事に伴って周辺交通や生活に与える影響も考慮し、今後の在り方を考えるべき」との意見が寄せられた。占用廃止時に残置される占用物件についても、道路陥没事故の発生リスクが懸念されている。  法改正により、道路管理者と道路占用者の連携や情報共有体制が強化されるのは、道路空間の安全性確保に向けた着実な前進と言える。ただ、八潮市の事故で顕在化した全ての課題に対応できたわけではない。上下水道管やガス管といった生活に不可欠なインフラを、どう安全なものとするのか。占用物件に関する議論は道半ばだ。 ▼前回の記事はこちら▼ https://digital.kentsu.co.jp/articles/artcl_rglr/01KY3DBDDTWFJYGT7Z5C8DD1DW ▼連載記事を(1)から読む▼ https://digital.kentsu.co.jp/articles/artcl_rglr/01KXHHJM76X07QCYDP8DD96E0A