連載『手形廃止まで1年』

 27年3月末の手形の廃止まで、1年を切りました。建設業の商慣行に深く根付いた手形の廃止は、これからの資金繰りにどのように影響するのでしょうか。この連載では、手形廃止にどのような課題があり、これからの資金繰りをどのように変えるのか、解説します。
(全5回)
(1)決済手段見直し、迫る期限

(1)決済手段見直し、迫る期限

建設業の商取引に深く根付いた約束手形の交換が、2027年3月末に廃止される。これに先立ち、主要な銀行の多くは9月末を手形の最終振り出し期限に設定。全国銀行協会(全銀協)は、10月を手形廃止に向けた山場とみて、混乱が生じないよう電子的な決済サービスへの早期移行を呼び掛けている。

(2)全圧連会員が自主宣言 仕入れ先取引は現金払い

(2)全圧連会員が自主宣言 仕入れ先取引は現金払い

全国コンクリート圧送事業団体連合会(全圧連)は、2027年3月に手形交換が廃止されることを見据え、25年9月から会員企業の手形による代金支払いを廃止すると宣言した。

(3)「でんさい」を新たな決済手段に 混乱回避へ電子化加速

(3)「でんさい」を新たな決済手段に 混乱回避へ電子化加速

手形の最終振出期限を9月末に設定する金融機関は、都銀、地銀、第2地銀で100%に達している。信用金庫など地域の金融機関も追随する動きを見せており、2027年3月末には市場に流通する手形はなくなる。ただ、決済手段としての歴史が長く、商慣習として根付いてきた手形が廃止されると、市場に混乱を招く恐れもある。全国銀行協会(全銀協)は代替手段である電子記録債権への移行を急いでいる。

(4)制度で異なる支払いサイト 法令順守・資金繰りの両立を

(4)制度で異なる支払いサイト 法令順守・資金繰りの両立を

2027年3月末の手形廃止に先立ち、今年1月に施行された中小受託取引適正化法(取適法)では、対象となる取引で手形の利用を禁止した。

(5)物価高騰、金利上昇が圧迫 資金繰り見直しの契機に

(5)物価高騰、金利上昇が圧迫 資金繰り見直しの契機に

建設業界では、工事代金の入金よりも先に資機材費や下請けへの外注費の支払いが求められるため、資金繰りの猶予を得られる決済手段として手形が定着してきた。2027年3月末の手形廃止後も、この建設業の特性は変わらない。物価高騰や金融機関からの借入金利の上昇が続く中、今後ますます緻密な資金繰りが求められるようになる。