
(1)課題はインフラ全体に どう支える 自治体の人・予算
2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を踏まえ、下水道の計画的な改築と事業基盤の強化、路面下の占用物件の安全確保対策を規定する改正下水道法が7月15日の参院本会議で可決、成立した。

2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を踏まえ、下水道の計画的な改築と事業基盤の強化、路面下の占用物件の安全確保対策を規定する改正下水道法が7月15日の参院本会議で可決、成立した。

「財源がいくらあっても足りない」「経営努力だけではどうしようもない」。地方自治体の下水道事業担当者は、苦しい経営状況をそう訴える。人口減少に伴う下水道使用料収入の減少に反して、下水道施設の更新費用は今後さらなる増加が見込まれる。特に中小規模の自治体では、下水道事業で発生する「原価割れ」が問題視されている。

法改正に伴う参院国土交通委員会の審議で、参考人として招かれた政策研究大学院大学の家田仁シニア・フェローは、「道路管理者は下水道の状況を知らない。逆もまた然(しか)りだ」と述べ、道路管理者と道路占用者との連携が不十分であることを問題視した。この指摘に対しては、改正下水道法・道路法による連携協定制度の創設と、道路占用許可に対する条件の追加によって、改善効果が見込まれる。ただ、法改正を経ても、道路占用には根本的な課題が残されている。

改正下水道法は、法律の目的に「下水道の基盤の強化」を位置付けた。技術基準や点検頻度だけでなく、維持・更新工事の発注体制や事業費確保の仕組みを定めたのは、安定的な維持管理を担保するためだ。だが、事業基盤が揺らいでいるのは下水道だけではない。地方自治体の技術的・財政的な制約が厳しさを増す今、国土交通省はインフラ全体の機能を将来にわたって維持するための制度を作ろうとしている。